中古マンション購入時の不安とリスクをどう考える?

不動産

住宅を買うというのは、人生の中でも大きなイベントの一つです。

新たなスタートを切ることにワクワクしている人も多いでしょう。

ただし、マンションは高額な買い物ですし、簡単に買い直すことはできません。

だからこそ、後悔しないためには、事前にリスクについて詳しく知っておくことが大切です。

この記事では、分譲マンションを買おうと考えている方々に向けて、購入後に起こりうるリスクとその対策について紹介します。

資産価値の低下

分譲マンションを購入する場合には、購入後に専有部分が自らの所有物となることが重要です。

このような不動産は、価値の変動リスクを伴います。

投資物件として購入する場合だけでなく、居住用として購入する場合も同様です。

購入時には現在そのマンションに住み続けるつもりであっても、将来的にライフスタイルの変化により売却しなければならない状況に直面する可能性もあります。

このような場合、資産価値が低下していると、それまでの支払ったローンと売却金額を合計しても、元々の購入価格に達しないため、損失を被るリスクが存在します。

一般的に、不動産(特にマンションなどの建物)は土地とは異なり、立地条件や周辺環境の変化により需要が減少し、築年数が経過するにつれて住みたいという希望を持つ人が減少する傾向があります。

また、周辺環境や経済情勢の変化により、空き家が増えるなどの現象が起こり、需要と供給のバランスが崩れ、価値が減少する場合もあります。

ただし、物件によって資産価値の低下の度合いは異なります。

一部の物件ではあまり低下しません。

資産価値の低下が起こりにくい物件には、駅近くで交通アクセスが良い、高級住宅街といったブランド力のあるエリアのマンションがあります。

このような地域に特有の魅力は、建物の劣化を引き起こさず、経年劣化による資産価値の低下が起こりにくいと言えます。

例えば、国土交通省の「平成30年度マンション総合調査結果からみたマンション居住と管理の現状」では、マンション購入者の70%以上が交通利便性に重きを置いているという調査結果が示されています。

マンションを購入する際には、優先すべき事項は人によって異なります。

しかし、将来的に住み替えを考えている場合は、ニーズが高く資産価値が低下しにくいエリアに位置している物件を選ぶことが重要です。

なぜなら、住み替えをする際に物件の売却が必要になるため、エリアの需要と資産価値が関わってくるからです。

高い需要があるエリアでは、売却時に良い条件で物件を売却することができるでしょう。

逆に、需要が低くなりやすいエリアでは、物件の価値が低下してしまい、売却時に損をする可能性もあるのです。

したがって、将来的な住み替えを考えている方は、エリアの需要や周辺環境、将来の開発計画などを調査し、ニーズが高くて資産価値が低下しにくいエリアにある物件を選ぶことをおすすめします。

具体的には、交通の利便性や周辺の商業施設の充実度、学校や医療機関へのアクセスの良さなどが重要な要素となります。

また、土地の将来の開発計画や周辺の景観、治安の状況なども考慮すべきです。

ただし、ニーズが高いエリアにある物件は通常、価格も高めになる傾向があります。

予算の範囲内で優先する要素を決め、バランスを考えながら物件を選んでください。

したがって、将来的に住み替えを検討している場合は、できるだけニーズが高くて資産価値が低下しにくいエリアにある物件を選び、優先して検討することをお勧めします。

住宅ローンの返済苦

住宅を購入する際のリスクとして、住宅ローンの返済が困難になることが挙げられます。

住宅ローンの返済が滞る原因は様々ありますが、一般的には長期的な返済計画の見通しが甘い場合が多いです。

例えば、家族の主たる収入を支えている方がケガや病気で十分に働けなくなり、家計の年収が減少するケースや、勤務している会社が経営不振で残業代や賞与がカットされる事例があります。

人生は予測不可能なことが起こるかもしれないので、予期せぬ出来事にも対応できるように返済計画を十分に立てることが、住宅ローンの返済リスクを軽減するポイントです。

具体的な対策としては、返済負担率を年収の20%以内に抑えて住宅ローンを組むことをおすすめします。

返済負担率とは、年間の返済額を年収で割ったもので計算されます。

例えば、毎月の返済額が10万円で年収が600万円の場合、返済負担率は「20%=10万円×12カ月÷600万円」となります。

一般的に、返済負担率は25%以内に抑えるべきだと言われていますが、可能な限り低い返済負担率を目指すことが理想です。

30%に近い返済負担率で住宅ローンを組むと、返済が苦しくなる可能性が高くなるため、注意が必要です。

もし返済が困難になった場合は、まずは家計の無駄な出費を見直して支出を削減することが賢明です。

また、住宅ローンの金利は金融機関によって異なるので、借り換えを検討することも良いでしょう。

さらに、借り換えをしても返済が難しいと予想される場合は、住宅ローンを組んでいる金融機関に相談し、返済条件の変更を検討する「リスケジュール」ができるか相談してみる方法もあります。

ただし、リスケジュールを行うと、信用度が低下してしまい、その後の借り換えが難しくなる可能性があるため、注意が必要です。

もし、あなたが子供が独立し、または業界の状況が変わり、将来的に収入が大幅に上昇する見込みがないと感じるのであれば、住宅を売却しても問題ないかもしれません。

災害

マンションを購入する際に考慮すべきリスクの中でも、一つの大きな要素が「災害リスク」です。

災害リスクと言っても、台風や豪雨に伴う洪水や土砂崩れ、地震や火災など、多くの種類の災害が想定されます。

これらの全てに対応するのは非常に困難です。

しかし、リスクを減らすためのアプローチはあります。

例えば地震リスクに対する対策としては、1981年以降に建てられたマンションを選ぶことが推奨されます。

なぜなら、1981年には建築基準法が改正され、新たな耐震基準が導入されたからです。

そのため、1981年以降に建設されたマンションは、震度5の地震には耐える能力があります。

一方、1981年以前の耐震基準で建てられたマンションは、震度5の地震でも建物に損害を受ける可能性が比較的高くなりますので、注意が必要です。

また、地球温暖化が進行している現代では、豪雨による浸水被害にも警戒が必要です。

マンションを購入する際には、給排水設備の管理やメンテナンスをしっかり行っているかを管理会社に確認するだけでなく、自治体のハザードマップを活用して水害リスクも確認しておくことが重要です。

しかし、これらの災害リスクを完全にゼロにすることは不可能です。

最善の選択肢としては、建物の火災保険に加入することです。

火災保険に加入する際には、地震保険にも加入すべきか迷うこともあるかもしれませんが、頑丈な構造を持つ分譲マンションでも地震保険に加入しておくことは大いにメリットがあります。

なぜなら、地震保険の保険料は年末調整や確定申告で所得税と住民税の控除対象になるからです。

年末調整や確定申告は毎年行う必要がありますので、数年間積み重ねることで大きな節税効果が生じる場合もあります。

さらに、地震保険の補償は、制度上の仕組みにより、どの保険会社を選んでも火災保険の半分しか受け取れないという点には注意が必要です。

しかし、保険金の使途には自由度があり、これもメリットと言えます。

例えば、地震による大きな被害で保険金が支払われた場合、その保険金を新しいマンションの頭金として使うこともできます。

そのため、今住んでいるマンションを諦めて新たな住居を購入する際に役立ちます。

また、建物だけでなく、家財道具全般にも地震保険をかけることができます。

特に新築マンションを購入し、新しい生活を始める予定の方は、地震保険に加入しておくことで安心感が得られるでしょう。

欠陥マンション

マンションを購入する際には、「構造の欠陥リスク」というリスクが存在します。

これは、確率は低いですが、もし問題が発生すると大きな被害を受ける可能性があるというものです。

具体的な例として、三井不動産レジデンシャルが販売した「パークシティLaLa横浜」の事例が挙げられます。

このマンションでは、2015年10月に構造の欠陥が発覚しました。

具体的には、マンションを支える基礎杭が硬い岩盤に届いておらず、施工データの改ざんも行われていたことがわかりました。

この問題は住民の合意を得た上で建て替えることになりました。

この事例をきっかけに、モデルルームだけを見て購入する人は減少しました。

しかし、一般的にマンションを購入する際には、複数の物件を候補に挙げることがあります。

そのため、全ての物件を訪れて欠陥がないか確認するのは時間的に難しい場合もあります。

そこで、新築マンションを購入する場合は、ディベロッパーや不動産会社の過去の実績や信用度をよく調べることが重要です。

大手が扱っているからといって盲目的に信用するのではなく、不祥事がないかよく確認しましょう。

また、新築住宅を購入する場合は、基本的に「瑕疵担保責任保険」が付帯されています。

これは新築住宅の欠陥に対する保険であり、引き渡しから10年以内で最大2000万円まで補償してくれるものです。

保険の加入は建設業者が行う必要があり、購入者は手続きや保険料の支払いはする必要はありません。

欠陥リスクを考慮した場合、新築住宅は瑕疵担保責任保険によって保護されているため、中古住宅よりもより高い安心感を得ることができます。

瑕疵担保責任保険とは、建設業者が建物の瑕疵(欠陥)に対して責任を負う保険であり、新築住宅の購入者は建物の瑕疵が発生した場合、修復や補償を受けることができます。

一方、中古住宅の場合は、建物の欠陥が発覚した場合、購入者自身が修理や補償の責任を負うこととなります。

中古住宅は建物の年数や使用状況によっては、リスクが高まる可能性があります。

したがって、新築住宅を選ぶことで、瑕疵担保責任保険による安心感を得ることができます。

この保険によって、建物の欠陥が発生した場合でも、修理や補償の費用を負担せずに済みます。

地域や周辺環境のトラブル

マンションを購入し、長期間暮らす予定のため、検討する際には地域や周辺環境も重要な要素となります。

特に近隣住民とのトラブルがあると、お互いに顔を合わせる機会が多いため、住み心地が悪くなってしまいます。

国土交通省が公表している「平成30年度マンション総合調査結果からみたマンション居住と管理の現状」によれば、マンショントラブルの発生状況についても調査が行われています。

その結果、前回の調査では特にトラブルのないマンションが26.9%であったのに対し、現在は23.2%に減少し、何らかのトラブルを抱えているマンションが増えていることがわかります。

これらのトラブルの中で最も多いのは「居住者間のマナー(55.9%)」であり、その内訳は「生活音(38%)」「違法駐車・違法駐輪(28.1%)」「ペット飼育(18.1%)」となっています。

こうした問題は当事者同士で解決しようとすると、感情的になるケースが多く、トラブルが悪化する可能性もあります。

したがって、もしトラブルが発生した場合は、管理会社に相談することが賢明です。

もし騒音などのトラブルが他の住民にも影響を及ぼすような場合は、市区町村の生活課などに相談することも選択肢の一つです。

このようなトラブルは早期解決を目指すべきであり、当事者同士で話し合うだけではなく、第三者の介入を受け入れ、解決策を模索することが重要です。

まとめ

マンションを購入すると、理想の自宅を手に入れることができます。

しかし、高額な買い物であるため、注意が必要です。

不動産を購入する際には、様々なリスクが存在します。

しかし、不動産を購入する際には、どの物件でも何らかのリスクがあります。

重要なことは、「事前にリスクを把握し、そのリスクに備える」ことです。

もしもマンションの購入を検討している場合、この記事で紹介した内容を参考にして、リスクに対する備えについて再度考えてみることをおすすめします。

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