贈与税の住宅取得等資金の非課税制度の適応条件とは?手続き方法も解説

不動産

住宅の価格が高騰している現状では、多くの人が親からの支援を頼りにしています。

親からの支援は贈与として扱われるため、その際には「住宅取得等資金の非課税制度」という制度を活用することをおすすめします。

この制度を利用すれば、親からもらった住宅の購入に関する贈与には贈与税がかからないと聞いたことがあるかもしれませんが、実際に本当なのでしょうか。

実際に親からの支援が贈与として認められないようにするためには、いくつかの条件を満たす必要があります。

まず、支援を受ける側は一定の要件を満たしていなければなりません。

例えば、自身が居住するための住宅の取得や建設に使用されることや、建て替えや改修などのために使われることが必要です。

また、親からの支援も一定の要件を満たさなければなりません。

具体的には、贈与の必要性や相場に即した金額であること、住宅の取得や建設に限定されていることなどが挙げられます。

また、親からの支援を受けても問題がない金額について気になると思います。

この場合、一律な上限ではなく、具体的な金額は個々の状況によって異なります。

そのため、受ける側や与える側の所得状況や関係性、地域などを考慮しながら、具体的な金額を検討する必要があります。

税務署や専門家に相談することで、適切な金額を確認することができます。

この記事では、「住宅取得等資金の非課税制度」に焦点を当て、詳しく説明しています。

記事を読むことで、あなたは住宅取得等資金の非課税制度を理解し、効果的に活用することができるでしょう。

令和4年度の税制改正により、「贈与税の住宅取得等資金の非課税制度」は2年間延長されました(2023年12月31日まで有効)。

したがって、現在でもこの制度を利用することが可能です。

住宅取得等資金の非課税特例とは

住宅取得等資金の非課税特例は、親などから住宅を買うためのお金を贈られた人が、その贈与を受けた年の翌年3月15日までに、そのお金を自分の住宅の購入に使い、同じくその日までにその住宅に住むことを条件に、一定額までの贈与税が免除される制度です。

贈与税とは、個人から現金や不動産などの財産を贈られた場合に、その受贈者が支払う税金のことです。

受贈者とは、財産を「もらった人」のことを指します。

贈与税は、ただ財産を無償で受け取る場合だけでなく、例えば財産を市場価格よりも大幅に安い価格で購入する場合や、お金を支払わずに不動産の名義を変更する場合、借金を免除される場合などでも課税対象となります。

渡す方ももらう方も「個人」が対象

贈与とは、財産を渡す人と受け取る人が個人であることが条件です。

一方が法人である場合は贈与にはなりません。

一般的に、贈与は年間で110万円までなら基礎控除額の範囲内であり、贈与税はかかりません。

これが暦年贈与制度と言われるものです。

親から受ける支援が年間で110万円以下であれば、支援の目的が何であっても、贈与税は発生しません。

しかし、住宅の自己資金を考慮すると、110万円は少ない金額です。

親が経済的に恵まれていても、贈与税の上限がある限り、資金の支援は難しいです。

そこで、子供が住宅を購入する場合に限り、500万円から1,500万円の範囲での贈与税を非課税とする特例が住宅取得等資金の非課税特例です。

住宅取得等資金の非課税限度額と対象要件

住宅取得等資金の非課税限度額について、最新の税制改正で詳細が変更されました。

具体的には、以前は令和3年12月31日までの期限が設けられていましたが、新たな税制改正により、2年間延長されることとなり、新たな期限は令和5年12月31日までとなりました。

さらに、以前は住宅を新築または取得する際の契約時期に応じて、非課税限度額が異なるルールが存在していました。

しかし、令和4年の税制改正を受けて、契約時期に応じた制限はなくなり、全ての取得や新築の場合に同じ非課税限度額が適用されるようになりました。

つまり、契約時期による制約なく、より柔軟に住宅取得等資金を非課税で活用することができるようになったのです。

暦年課税や相続時精算課税と併用可能

この特例は、暦年課税または相続時精算課税のいずれかと併用することができます。

相続時精算課税とは、最初に2,500万円までの贈与を非課税で認め、相続時に贈与した財産を相続財産に加算して相続税を清算する制度です。

この制度では、相続時に相続税が課税されることになりますが、最初に2,500万円までの贈与を非課税で受けることができるため、一時的に課税を先送りすることができるメリットがあります。

一方、暦年課税の場合は、相続時の精算は行われず、最大で110万円まで非課税で贈与を受けることができます。

ただし、相続時精算課税を適用すると、暦年課税は適用できなくなるため、注意が必要です。

また、暦年課税と住宅取得等資金の非課税特例を併用すると、高品質な住宅の場合、「1,000万円+110万円=1,110万円」まで非課税で受け取ることができます。

一方、相続時精算課税と住宅取得等資金の非課税特例を併用すると、高品質な住宅の場合、「1,000万円+2,500万円=3,500万円」まで非課税で受け取ることが可能です。

ただし、この場合、2,500万円については相続時に相続税が課税されることになります。

受贈者の要件

親やその他の親族がお金を贈る立場の人を贈与者と呼びます。

贈与者には、受贈者の親や祖父母、曾祖父母などが含まれます。

一方、お金を受け取る立場の人を受贈者と言います。

受贈者には、贈与者と親子の関係にある子供や孫が対象です。

ただし、受贈者は贈与を受けた年に合計所得金額が2,000万円以下である必要があります。

また、受贈者は贈与を受けた年の翌年の3月15日までに、その贈与で得た住宅に住まなければなりません。

もし新築住宅の場合、3月15日までに建物が完成していないとしても、遅滞なく住むことが確実であると予測される場合には、特例が適用されることがあります。

ただし、贈与を受けた年の翌年の12月3日までに入居できない場合は、非課税特例の適用ができなくなるので注意が必要です。

適用対象となる住宅の条件

対象となる住宅は、以下の条件をすべて満たす必要があります。

1. 建築後、まだ使用されていない住宅用の建物であること。

2. 新たな耐震基準に適合している住宅用の建物であること。

なお、登記簿上の建築日付が1982年1月1日以降の場合は、自動的に新耐震基準に適合しているものとみなされます。

3. 一度は使用されている住宅用の建物であり、地震に対する安全性基準に適合していること。

ただし、一定の証明書等による証明が必要です。

4. 耐震改修について、都道府県知事などに申請を行い、かつ、贈与を受けた翌年の3月15日までに耐震基準に適合していること。

なお、一定の証明書等による証明が必要です。

対象となる住宅は、新築、中古、リフォームのいずれでも構いません。

ただし、すべての場合において、面積要件として40㎡以上240㎡以下であることが必要です。

住宅取得等資金の非課税特例の適用を受けるための手続き

住宅購入用の特別免税措置を利用するためには、贈与税の申告書に必要な書類を添付し、住所地の税務署に申請しなければなりません。

贈与税の申告には以下の書類が必要です。

新築、中古、リフォームに共通なものは次の通りです。

1. 計算明細書:贈与税を計算するための明細を記載した書類です。

2. 受贈者の戸籍謄本:受贈者の身分や住所などが記載された戸籍謄本のコピーです。

3. 贈与年の所得金額を明らかにする書類:贈与年の受贈者の所得金額を示す書類です。

4. 請負・売買契約書:住宅の契約内容や価格が明記された契約書です。

ただし、新築住宅や中古住宅の場合は、以下の書類も必要です。

5. 登記事項証明書:住宅の登記情報が記載された証明書です。

一方、リフォームの場合は以下の書類が追加で必要です。

6. 受贈者の戸籍の附票の写し:受贈者の戸籍の附票のコピーです。

7. 増改築等工事証明書:リフォーム工事が行われたことを証明する書類です。

8. リフォーム工事瑕疵保険付保証明書:リフォーム工事における瑕疵保険が付帯されていることを示す書類です。

さらに、特定の築後年数(木造20年・耐火建築物25年)を超える中古住宅の場合は、以下の書類のいずれかも必要です。

9. 耐震基準適合証明書、建設住宅性能評価書、既存住宅売買瑕疵保険付保証明書:中古住宅が耐震基準に適合していることや性能が評価されていることを示す証明書のいずれかです。

さらに、非課税枠の500万円追加を申請する場合は、以下の書類も必要です。

10. 質の高い住宅の基準に適合することを証する書類:住宅が高品質な基準を満たしていることを示す書類です。

また、申請の期限は贈与を受けた年の翌年の2月1日から3月15日までに行う必要があります。

まとめ

今回は、贈与税に関連する拡充された住宅取得等資金の非課税制度について詳しくご説明してきました。

この非課税制度をうまく活用することで、住宅を購入する際の自己資金を確保することができます。

贈与税の対象となる不動産を取得する際に必要な資金を、この制度を利用することで非課税とすることができるのです。

この制度を知ることで、住宅購入の際にお得に資金を調達することが可能です。

ぜひ、この住宅取得等資金の非課税制度を上手に活用して、自分のために理想の住まいを手に入れるお手伝いができればと思います。

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