マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例

不動産

今回は、「マイホームの買い換えに関する譲渡損失の損益通算および繰越控除の特例」について詳しく説明します。

この制度により、マイホームを買い換える際に発生した損失を活用して、税金の還付を受けることができます。

この特例を利用することで、「税金の還付を受けること」ができるため、不動産売却をよりお得に進めることができます。

国税庁のウェブサイトには、詳しい説明がありますが、内容がやや専門的で初心者には理解しづらいかもしれません。

マイホーム(旧居宅)を令和5年12月31日までに売却して、新たにマイホーム(新居宅)を購入した場合に、旧居宅の譲渡による損失(譲渡損失)が生じたときは、一定の要件を満たすものに限り、その譲渡損失をその年の給与所得や事業所得など他の所得から控除(損益通算)することができます。

さらに、損益通算を行っても控除しきれなかった譲渡損失は、譲渡の年の翌年以後3年内に繰り越して控除(繰越控除)することができます。

これらの特例を、マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例といいます。

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そこで、ここではできるだけわかりやすく説明していますので、安心して読み進めてください。

売却損は発生しやすい

一般的に、土地の価格が大幅に上昇しない限り、住宅を売却する際には損失を被ることが多いです。

つまり、今回取り上げる「マイホームを買い換えた場合の売却損の損益通算および繰越しに関する特例」が適用できるということです。

以上が、売却損が一般的に生じる理由でした。

次に、この特例を用いた課税譲渡所得の計算方法について説明します。

売却損が発生するのか計算

不動産を売却する際には、税金を計算するために課税対象所得を求める必要があります。

ここでは、課税対象所得を「売却に関連する損失額」と言い換えてみましょう。

売却に関連する損失額は、以下の計算式で求められます。

売却に関連する損失額 = 売却額 – 購入費 – 売却費用です。

売却額とは、不動産を売却した際の受け取った金額を指します。

購入費とは、不動産を購入した際の費用を意味しますが、建物の場合には減価償却後の価額が使われます。

売却費用は、売却にかかる仲介手数料などの費用を指します。

なお、この計算は売却と同時に不動産を買い替える場合に適用されますが、新しい資産の金額などは計算の対象外です。

つまり、計算には売却する不動産の売却価格や購入費などだけが利用されることになります。

損益通算で計算する必要

個人が土地や建物を売却する際に、損失が生じた場合、通常はその損失額を他の所得(給与所得や事業所得など)から控除したり、繰越控除したりすることはできません。

しかし、自身の居住用不動産である「マイホーム」の売却損失に限り、その年の他の所得から控除することができます。

また、控除しきれなかった損失額が残った場合、その残額を翌年から3年間に渡って繰越して、各年の総所得金額から控除することができる仕組みがあります。

では、次にこの制度の適用要件について詳しく説明します。

マイホームの売却損失を控除するためには、以下の条件を満たす必要があります。

まず、売却された不動産は自身の居住用不動産である必要があります。

つまり、その不動産が自身や家族の住まいとして使用されていたことが要件となります。

さらに、土地や建物の取得から売却までの期間は、一定の年数以上である必要があります。

この期間は通常、5年以上とされています。

最後に、売却損失の金額は、所得税法などで定められている一定の上限額を超えないようにする必要があります。

この上限額は、売却損失額の一部を限定的に控除できる上限を指しており、具体的な金額は法律によって定められています。

以上がマイホームの売却損失の控除に関する要件です。

これらの条件を満たしている場合に限り、売却損失をその年の他の所得から控除することができます。

また、控除しきれなかった損失額がある場合は、その残額を翌年から3年間にわたって繰越して控除することができます。

この制度は、個人の税負担を軽減するために設けられており、マイホーム売却時の損失が生じた場合には活用することができます。

ただし、具体的な控除金額や手続きについては、税務署や税理士などの専門家と相談することをおすすめします。

マイホームを買換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例

マイホームであればなんでも適用と言うわけではないです。

特例の適用を受けるための要件

(1)自分が住んでいるマイホームを譲渡すること。なお、以前に住んでいたマイホームの場合には、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡すること。

(注)住んでいた家屋または住まなくなった家屋を取り壊した場合は、次の3つの要件すべてに当てはまることが必要です。

イ 取り壊された家屋およびその敷地は、家屋が取り壊された日の属する年の1月1日において所有期間が5年を超えるものであること。

ロ その敷地の譲渡契約が、家屋を取り壊した日から1年以内に締結され、かつ、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること。

ハ 家屋を取り壊してから譲渡契約を締結した日まで、その敷地を貸駐車場などその他の用に供していないこと。

(2)譲渡の年の1月1日における所有期間が5年を超える資産(旧居宅)で日本国内にあるものの譲渡であること。

(3)災害によって滅失した家屋で当該家屋を引き続き所有していたとしたら、譲渡の年の1月1日において所有期間が5年を超える家屋の敷地の場合は、その敷地を災害があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日まで(住まなくなった家屋が災害により滅失した場合は、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日まで)に売ること。

(4)譲渡の年の前年の1月1日から売却の年の翌年12月31日までの間に日本国内にある資産(新居宅)で家屋の床面積が50平方メートル以上であるものを取得すること。

(5)買換資産(新居宅)を取得した年の翌年12月31日までの間に居住の用に供することまたは供する見込みであること。

(6)買換資産(新居宅)を取得した年の12月31日において買換資産について償還期間10年以上の住宅ローンを有すること。

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買換えなので、譲渡資産と買換え資産の要件も決まっています。

特例の適用除外

(1)繰越控除が適用できない場合

イ 旧居宅の敷地の面積が500平方メートルを超える場合

旧居宅の敷地の面積が500平方メートルを超える場合は、500平方メートルを超える部分に対応する譲渡損失の金額については適用できません。

ロ 繰越控除を適用する年の12月31日において新居宅について償還期間10年以上の住宅ローンがない場合

ハ 合計所得金額が3,000万円を超える場合

合計所得金額が3,000万円を超える年がある場合は、その年のみ適用できません。

(2)損益通算および繰越控除の両方が適用できない場合

イ 旧居宅の売主と買主が、親子や夫婦など特別の関係にある場合

特別の関係には、このほか生計を一にする親族、家屋を売った後その売った家屋で同居する親族、内縁関係にある人、特殊な関係にある法人なども含まれます。

ロ 旧居宅を売却した年の前年および前々年に次の特例を適用している場合

(イ)居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の軽減税率の特例(措法31の3)

(ロ)居住用財産の譲渡所得の3,000万円の特別控除(被相続人の居住用財産に係る譲渡所得の特別控除の特例を除きます。)

(ハ)特定の居住用財産の買換えの場合の長期譲渡所得の課税の特例(措法36の2)

(ニ)特定の居住用財産を交換した場合の長期譲渡所得の課税の特例(措法36の5)

ハ 旧居宅を売却した年またはその年の前年以前3年内における資産の譲渡について、特定居住用財産の譲渡損失の損益通算の特例(措法41の5の2第1項)の適用を受ける場合または受けている場合

ニ 売却の年の前年以前3年内の年において生じた他のマイホームの譲渡損失の金額についてマイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算の特例の適用を受けている場合

(注)この特例と住宅借入金等特別控除制度は併用できます。

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譲渡資産の範囲

特例の適用対象となる「譲渡資産」とは、個人が有する家屋または土地等(土地または土地の上に存する権利をいいます。以下同じ。)で譲渡した年の1月1日において所有期間が5年を超えるもののうち次に掲げるものをいいます。

(1)譲渡する個人が居住の用に供している家屋で国内にあるもの

居住の用に供している家屋を2以上有する場合には、主として居住の用に供している一の家屋に限ります。

また、譲渡する家屋のうちに居住の用以外の用に供している部分がある場合には、居住の用に供している部分に限ります。

(2)(1)の家屋でその個人の居住の用に供されなくなったもの

その個人の居住の用に供されなくなった日から同日以後3年を経過する日の属する年の12月31日までの間に譲渡されるものに限ります。

(3)(1)または(2)の家屋およびその家屋の敷地の用に供されている土地等

(注)住んでいた家屋または住まなくなった家屋を取り壊した場合は、次の3つの要件すべてに当てはまることが必要です。

イ 取り壊された家屋およびその敷地は、家屋が取り壊された日の属する年の1月1日において所有期間が5年を超えるものであること。

ロ その敷地の譲渡契約が、家屋を取り壊した日から1年以内に締結され、かつ、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること。

ハ 家屋を取り壊してから譲渡契約を締結した日まで、その敷地を貸駐車場などその他の用に供していないこと。

(4)譲渡する個人の(1)の家屋が災害により滅失した場合において、その個人がその家屋を引き続き所有していたならば、譲渡した年の1月1日において所有期間が5年を超えることとなるその家屋の敷地の用に供されていた土地等

その災害があった日から同日以後3年を経過する日の属する年の12月31日まで(住まなくなった家屋が災害により滅失した場合は、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日まで)の間に譲渡されるものに限ります。

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買換資産の範囲

特例の適用対象となる「買換資産」とは、譲渡資産を譲渡した個人が居住の用に供する家屋で次に掲げるもの(居住の用に供する家屋を2以上有する場合には、これらの家屋のうちその者が主としてその居住の用に供すると認められる一の家屋に限ります。)またはその家屋の敷地の用に供する土地等で、国内にあるものをいいます。

(1)一棟の家屋の床面積のうちその個人が居住の用に供する部分の床面積が50平方メートル以上であるもの

(2)一棟の家屋のうち、独立部分を区分所有する場合には、その独立部分の床面積のうちその個人が居住の用に供する部分の床面積が50平方メートル以上であるもの

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申告等の方法

特例の適用手続については、次のとおりです。

(1)損益通算の場合

確定申告書に次の書類を添付する必要があります。

イ 「居住用財産の譲渡損失の金額の明細書(確定申告書付表)」

ロ 「居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の対象となる金額の計算書(租税特別措置法第41条の5用)」

ハ 旧居宅に関する次の書類

(イ)売った資産が次のいずれかの資産に該当する事実を記載した書類

A 自分が住んでいる家屋のうち国内にあるもの

B 上記Aの家屋で自分が以前に住んでいたもの(住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までの間に譲渡されるものに限ります。)

C 上記AまたはBの家屋およびその家屋の敷地や借地権

D 上記Aの家屋が災害により滅失した場合において、その家屋を引き続き所有していたとしたならば、その年の1月1日において所有期間が5年を超えるその家屋の敷地や借地権(災害があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までの間に売ったものに限ります。)

(ロ)登記事項証明書や売買契約書の写しなどで所有期間が5年を超えることおよび面積を明らかにするもの

(ハ)売った時において住民票に記載されていた住所と売った資産の所在地とが異なる場合その他これらに類する場合には、戸籍の附票の写し等で、売った資産が上記(イ)のAからDのいずれかに該当することを明らかにするもの

ニ 新居宅に関する次の書類

(イ)登記事項証明書や売買契約書の写しなどで購入した年月日、家屋の床面積を明らかにするもの

(ロ)年末における住宅借入金等の残高証明書

(ハ)確定申告書の提出の日までに買い換えた資産に住んでいない場合には、その旨および住まいとして使用を開始する予定年月日その他の事項を記載したもの

(2)繰越控除の場合

次のことが必要です。

イ 損益通算の適用を受けた年分について、一定の書類の添付がある期限内申告書を提出したこと。

ロ 損益通算の適用を受けた年分の翌年分から繰越控除を適用する年分まで連続して確定申告書(損失申告用)を提出すること。

ハ 確定申告書に年末における住宅借入金等の残高証明書を添付すること。

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住宅ローン控除との併用が可能

この特例は、買い替えを前提としているため、新しく購入する不動産に対して住宅ローンを利用する人も多いと思われます。

住宅ローンを利用して不動産を購入すると、所得税から一定の額が控除される住宅ローン控除の適用を受けることができます。

住宅ローン控除も節税効果があり、本特例とは似たような効果があります。

そのため、本特例を適用する場合には、住宅ローン控除も同時に適用できるかどうか心配です。

しかし、この特例の優れている点は、住宅ローン控除との併用が可能であるということです。

つまり、本特例と住宅ローン控除は同時に適用することができます。

まとめ

マイホームを買い換える際には、売却時に生じる譲渡損失の損益を通算・繰越する特例があります。

この特例を利用するためには、確定申告が必要となります。

譲渡損失が発生した場合には、確定申告をすることで税金を還付される可能性があります。

つまり、確定申告をしないと税金が戻ってこないのです。

この特例は住宅の売却において非常に優れたものであり、ぜひ積極的に活用することをおすすめします。

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